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【観戦記事】11/23デジモンカードシーズン1大会 決勝戦

大会レポ
11 /27 2019
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カードへの愛



カードゲームをやっているなら誰しもが多かれ少なかれ持っているだろう。カードを愛し、デックを愛し、ゲームを通して各々の愛を競い合う。
しかしながら勝負の世界は厳しいもので、愛ではどうにもならないことも多い。使いたいカードを決めて、それを活かすカードでデックを埋め、最後に最初に入れたカードが抜けたらデック完成。なんて冗談もよく聞く話だ。

―けれどもし、卓越した愛が理屈を超えて勝利を引き寄せるなら―

この試合は、そんな事を思わずにはいられない一幕だった。

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1.プレイヤー紹介

むらさき

彼が誰にも負けないと自負するのは、イラストへの深い造詣だ。公式イラストレーターのクレジットが無いデジモンと言うコンテンツにおいて、彼はイラストを見ただけで描いた公式イラストレーターを言い当てる能力を持つ。そんな彼が操るデックもまた、イラストへの非凡な拘りを体現したものであった。

ハイトウォグレ

まず目を引くのはこのデックの主役であるウォーグレイモンとアグモンだろう。カードNo自体はシーズン1のものだが、デジモン20thアニバーサリーセットで収録されたイラスト差し替え版を採用している。

ウォーグレイモンのイラストレーターは彼の一押しでもある中野牌人。アグモンはお馴染み渡辺けんじ。グレイモンとメタルグレイモンは森山奏。最初期から最新までデジモン公式イラストレーターがずらりといったラインナップだ。残念ながら採用できなかった一振り全滅、ドラモンキラー‼︎のウォーグレイモンは自作のライフカウンターで補完しており隙がない。しょうりつの絵柄がグレイモン系列で統一がなされているのもここまで来れば当然というものだ。
他に目を引くのは飛べるってスバらしい!の採用だろう。この枠には腐り辛く複数ターンにわたって効果を発揮する黒い歯車が採用されている事が多いが、他でもない牌人ウォーグレイモンを強化できる点においてこのカードは値千金の価値がある。

一目見て美しいと感嘆できるデックだが、ここまで統一感を持たせたデックは組むことはできても実際に大会に持ち込むのはなかなかできる事ではない。卓越した愛あればこそできる事だと思う。


きんぞく

何の因果か、決勝に残った2人のプレイヤーは普段から親交の深い好敵手同士であった。
きんぞくとむらさき。二人が揃えば永遠に話題が尽きないと自他共に認める彼らは、当然カードへの愛でもお互いに負けない強いこだわりを持っている。

NaoyaDS.jpg

一見すると標準的なDSスタンダードに見えるレシピだが、単純な性能で優るオクタモン、ルカモンルートではなくイッカクモン、ゲソモンルートを採用している事から拘りの一端を垣間見る事ができる。その拘りとは、Naoyaだ。

Naoya。ご存じの方も聞き覚えのない人もいるだろうが、この人物もまたデジモン公式イラストレーターの一人である。X抗体デジモンを多数デザインしたクロニクル期の功労者だ。

イッカクモンとメタルシードラモンを除くデックの全デジモンがNaoya氏デザインのX抗体を持っているこのルートチョイスがこのデックのコンセプトを表している。本来ルートに必要ないシードラモンをわざわざ採用しているのもこの拘りから来ているのだろう。やはりこのデックからも並外れた愛を感じる。

オプションカードのチョイスにも注目だ。構築上バトルタイプAが少ないので防御Cを不採用にし、3種類のピン差しカードを採用しているようだが…?
危機からの反撃!は少し使いどころが難しいが効果の強さはご存知の通り。
レベルⅣに変身!はコンセプトのために入っているシードラモンを使いやすくする働きの他、完全体への進化を偽装する使い方もなかなか侮れない。
最後にあの頃はよかった。元々自分に使っても相手に使っても強いカードなのだが、Naoyaルートの根幹を担うシャコモンがこの効果を最大限に活かしている。
進化ルートの利便性からバトルタイプBの完全体はシーズン1の中では使われやすい方なのだが、完全体でありながらバトルタイプCに負けやすいので進化する際にはそのケアを常に考える必要がある。その観点で、このDSデックがイッカクモンかシードラモンになっている場合、進化先がバトルタイプBのみのため相手としてはB完全体に進化しやすい。そこであの頃はよかったでシャコモンに退化するといきなりCが出てくるためB完全体は対応できずに負けてしまうのだ。


進化ルートに拘りを持ちながらオプションでその特徴を上手く戦術に昇華している、非常に洗練された構築だと言える。



それぞれ違った形で愛を昇華した二つのデック、二人のプレイヤー。
各々のカードへの愛が、シーズン1大会決勝という舞台で衝突する。


2.決勝戦

11/23、時刻は午後6時頃。シーズン1大会の準決勝が決着した。
一方の試合はNaoyaDS vs タスクモン&レオモン。どちらもレベルⅣでのゲーム展開に秀でた堅実なデックだ。
もう一方は牌人ウォーグレイモン vs Nspスタンダード。方やイラストレーターへの情熱を、方やテントモンへの信頼を形にした熱いマッチアップだ。

どちらも素晴らしい試合であった事は言うまでもないが、ここでは結果だけにとどめておこう。NaoyaDSを操るきんぞくと、牌人ウォーグレイモンをパートナーとしたむらさきの2人が決勝に勝ち上がった。


この二人、元々好敵手である事は先にも述べたとおりだが、実は事前に決勝で会おうと熱い約束を交わしており、その約束通りついにここまで勝ち上がってきた。
すなわちこの決勝の舞台で刃を交えること自体が一つの目標であり、その目標は今ここに達成された。

周りを見渡せば本日のメインイベントの一つである餃子パーティの準備も始まっており、あと数十分もすれば始まる宴特有の熱気が漂い始めている。これから祝勝会でもした方がいいんじゃないかとさえ思えるほどだ。

しかしこれから始まるのは決勝戦。その一方でそれ自体が切望した栄光でもあり、そして今まで幾度となく繰り返した好敵手との「決着」。

そんな舞台だからこそ、試合開始の合図もこんな言葉がふさわしい―――




「「乾杯!」」




大歓楽の決勝戦が、幕を開けた。
完全に余談だが、この二人に限って言えば一杯ひっかけているくらいが絶好調(ベストコンディション)じゃないかと僕は勝手に思っている

試合自体はむらさきがバトルタイプAしか採用していないこともあり、バトルタイプ有利を取れるきんぞくが終始優勢でゲームを進めていた。

順調にポイントで押されていくむらさきだが、しかしそれで負けるようなら彼はこの決勝の舞台に立っていない。
運良く…否。彼の愛にデックが応え必然的に、むらさきはパートナーをウォーグレイモンへ進化させる。

牌人ウォグレ

バトルタイプで不利とは言っても究極体まで行くと話は変わり、完全体のアノマロカリモン程度では勝つことが出来ない。ポイントの回復も相まって完全に持ち直したと言える。

が、きんぞくもまたここまで勝ち抜いてきた猛者。強敵を相手にただ手をこまねいているだけではない。
好敵手の化身ともいうべきウォーグレイモンに対して彼が繰り出したのはシードラモン+黒い歯車のコンボだ。

bo6.jpg 歯車

ギリギリだが、しかし確実に攻撃力で上回る事ができる組み合わせに対応できずウォーグレイモンが落とされてしまう。


折角進化した究極体がレベルⅣに倒されてしまったこの場面。ポイントで見ても試合の流れの面で言っても非常に厳しい展開だが、むらさきときんぞくが気にしていたのはそんな事ではなかった。


「「ウォーグレイモンvsメタルシードラモンやりたかった~」」


この日最も強かった二人のプレイヤーの関心は、既に一般プレイヤーの思考を遥かに超えていた。




あるいはそんな二人だからこそ―― 一度は逃した運命を再度手繰り寄せる事ができるのだろう。
数ターン後、本来決して簡単ではない究極体への進化をまたしても成功させたむらさきに対し、今度はきんぞくも応える。

ウォーグレイモンvsメタルシードラモン

先ほど果たせなかったウォーグレイモン vs メタルシードラモンの対決である。

この対面ではウォーグレイモンが負けているため先に動く。防御プラグインCはバトルタイプAならば定番の一手だが、それに加えて飛べるってスバらしい!まで重ねてタイプ相性をひっくり返しにかかるむらさき。
しかしここでもきんぞくが一枚上手だった。2枚の脅威をそれぞれ無効化して元々の有利を譲らない。

ウォーグレイモン vs メタルシードラモンの原作再現対決は、アニメとは裏腹にメタルシードラモンの勝利で終わった。



この勝利でほとんど試合は決したように思えた。

デックの残り状況も芳しくなく残りポイント10で寿命を迎えることになったむらさきに対して、きんぞくのポイントには十分な余裕があり、争いを通しさえすればほぼ勝ちの状況。

争いを止めるためにはプロ緊が必要だが、プロ緊があれば勝てるわけではない…そう、勝つ為にはウォーグレイモンに進化する事が殆ど必須だった。
しかし現時点で揃っているのはスロットに一枚のしょうりつのみ。臨むのはたった6枚のドローで4枚の進化パーツを引いて来なければ叶わない奇跡だった。

入念なシャッフルに加え、デックのカットを隣にいたノミジッド氏にお願いする。自分自身に加え、友の祈りまでデックに込めるように。







”天使達がその守るべき人のもっとも愛する人へ光と希望の矢を放ったとき、奇跡はおきた”






予言の一節を思い出す一幕だった。

勿論ノミジッド氏は天使ではないし、愛する人と言うのも言い過ぎだ。しかし彼が託した希望の矢は、確かに奇跡をおこしたのだ!


引いた6枚を確認したむらさきは興奮を抑えられないまま進化準備を終え、パートナーを究極進化させる。

そしてこれにはここまで全ての攻め手を捌いてきたさすがのきんぞくも動揺を隠せない。本来ゲームを終わらせるはずだった争いをたった10点のバーンカードとして使うのが精一杯だ。



形勢は逆転した。
だが、それでもまだこの二人の試合は終わらない。

流れを掴んだむらさきがきんぞくのポイントを落としにかかるが、きんぞくが倒れるよりも再度進化を果たしたメタルシードラモンが立ちふさがる方が早かった。

―彼もまたカードに愛されたテイマーなのだから―

それはさしずめ、運命に運命で応える戦場だった。




この試合2度目のウォーグレイモン vs メタルシードラモン。

先ほどと同じくウォーグレイモンが飛べるってスバらしい!を発動する。
しかし今度は結末まで同じとはいかなかった。進化のために費やした争いとプロ緊は、飛べるってスバらしい!を無効化するためにはどうしても足りなかったのだ。

空高く飛び上がったウォーグレイモンのドラモンキラーがメタルシードラモンを貫く。
二度目の原作再現は、決まり手まで完全にアニメ通りだった。



絶体絶命の危機にテイマーを救い、一度は敗れた宿敵にリベンジを果たした牌人ウォーグレイモン。
そして彼はついにテイマーのポイントを守り切った!その姿に、生きているような意志を感じたのは僕の気のせいだっただろうか。

シーズン1大会 優勝は牌人ウォーグレイモンを使用したむらさき!!おめでとう!!!







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TCGプレイヤーは、如何にして強くなるのだろうか。

構築、プレイング、そして運。勝利に関わる3要素のうち、運だけは努力でどうにもならないとされている。
しかしもし仮に、運命に影響する要素が存在するのなら―


それこそがきっと、カードへの愛ではないだろうか。

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3.そのあと

いつしか始まっていた餃子パーティーと、すでに半分程なくなっている餃子の皿がその激戦っぷりを示していた。(決勝は時間無制限だった)

激戦を戦い抜いた二人は余韻もそこそこに急いで餃子にありつき、アルコールを追加する。

デジカ大会は最高の決着だったが、今夜は餃子もあるし鍋もある。酒もまだまだ残っているし、楽しみがいくらでも控えている。

最高の夜は、始まったばかりだった。

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コメント

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八坂

旧デジモンカードシーズン1、
アルティメットバトルルールには明るいです。